परिणामत्रयसंयमात् अतीतानागत ज्ञानम् 3-16
パリナーマトラヤサンヤマート アティーターナーガタ ジュニャーナム
परिणामत्रयसंयमात् パリナーマトラヤサンヤマート
(上記3章13節の)3種類のパリナーマ・転変にサンヤマするならば、
अतीतानागतज्ञानम् アティーターナーガタジュニャーナム
過去と未来がわかる。
अतीत アティータ 過去
(同義語 ブータ भूत )
अनागत アナーガタ 未来
(同義語 バヴィシュヤ भविष्य )
शब्दार्थप्रत्ययानामितरेतराध्यासात्संकरः तत्प्रविभागसंयमात् सर्वभूतरुतज्ञानम् 3-17
シャブダールタプラティヤヤーナーミタレータラーデャーサート サンカラハ タトプラヴィバーガ サンヤマート サルヴァブータルタジュニャーナム
शब्दार्थप्रत्ययानाम् シャブダールタプラティヤヤーナーム
・शब्द シャブダ
口から発する言葉、耳から聞く言葉、目で見る文字など、言葉そのもの。
・अर्थ アルタ
・अर्थ アルタ
その物体そのもの、実物。
・प्रत्ययानाम् プラティヤヤーナーム
・प्रत्ययानाम् プラティヤヤーナーム
「プラティヤヤーナーム」とは、上記のシャブダ(शब्द) とアルタ(अर्थ)を元にチッタの中で出来上がった概念。その人の心の中でのみ存在する知識。
इतरेतराध्यासात् イタレータラーデャーサート
1つの事柄を他の事柄だと誤認していることにより(アルタとシャブダを元に誤認している場合)
संकरः サンカラハ
混同している、違いがないものだと思っている。
तत्प्रविभागसंयमात् タトプラヴィバーガサンヤマート
それら部分部分に分割してサンヤマすることによって
・तत् タト /それら
・प्रविभाग
プラヴィバーガ/部分部分、別々に
・संयमात्
サンヤマート/サンヤマすることによって
सर्वभूत サルヴァブータ
すべての生き物の
रुतज्ञानम् ルタジュニャーナム
言葉がわかる(ようになる)
今まで学んだことの復習もかねて、“陶器の水差し”を例に、シャブダ、アルタ、プラティヤヤーナームの3つで分析してみましょう。
「シャブダ」は“陶器の水差し”という言葉(シャブダ)そのものです。この「水差しという言葉」のダルミーは「音や発音」です。
「シャブダ」は“陶器の水差し”という言葉(シャブダ)そのものです。この「水差しという言葉」のダルミーは「音や発音」です。
「アルタ」は「水差しという“物体”そのもの」。水差しのダルマは花に水を補給し続けるダルマをもちます。素材が土でできているものであれば、この水差しという物体のダルミーは「土」です。
プラティヤヤーナームは「水差しについての概念」です。これは各自の心の中でのみ存在しますので、この概念が異なる人と水差しについて会話をすると話がかみ合わないこともあるでしょう。「水差しの概念」のダルミーは何ですか? ずばり“チッタ”です。チッタのダルマは、想念が映し出されることや、概念そのものです。
生き物、外国の言葉についても、混同されがちな「シャブダ、アルタ、プラティヤヤーナーム」を3つに分けてサンヤマをすることによって、話していることがわかるようになる、とこの節では説かれます。
संस्कारसाक्षात्करणात्पूर्वजातिज्ञानम् 3-18
サンスカーラサークシャートカラナート プールヴァジャーティジュニャーナム
संस्कारसाक्षात्करणात् サンスカーラサークシャートカラナート
(サンヤマを通して)サンスカーラを直観することによって
संस्कार サンスカーラ
साक्षात् サークシャート/直接見る。直観。
करणात् カラナート /~することによって
पूर्वजातिज्ञानम् プールヴァジャーティジュニャーナム
前世のことがわかる(ようになる)
サンスカーラ(संस्कार)という言葉は、大別して2つの意味合いを持ちます。
一つは、出生、寿命、経験(転変)の因となるダルマ・アダルマ性を伴ったサンスカーラ。これは非煩悩から生まれた純粋なサンスカーラか、煩悩による行為から生じた業遺存に大別されます。(2-12、2-13、4-8~4-11参照)。
प्रत्ययस्यपरचित्तज्ञानम् 3-19
プラティヤヤスヤ パラチッタ ジュニャーナム
प्रत्ययस्य プラティヤヤスヤ
他人のチッタの概念を(サンヤマを通して、直観することによって)
परचित्तज्ञानम् パラチッタジュニャーナム
他人の想念がわかる(ようになる)
他人のチッタの概念を(サンヤマを通して、直観することによって)
परचित्तज्ञानम् パラチッタジュニャーナム
他人の想念がわかる(ようになる)
न च तत्
सालम्बनं तस्याविषयी भूतत्वात् 3-20
ナ チャ タト サーランバナン タスヤーヴィシャイーブータトワート
न-च-तत् ナ チャ タト
しかし、その知識はそうでない
सालम्बनम् サーランバナン
सालम्बनम् サーランバナン
対象物を伴うもの(ではない)
तस्याविषयी タスヤーヴィシャイー
(तस्य タスヤ + アヴィシャイー अविषयी )
ヨーギーの想念の対象はそれではないから。
भूतत्वात् ブータットワート
他人の想念(プラティヤヤ)に対してサンヤマをかけているのであり、他人が想念の対象においている対象物(アルタ)にサンヤマしているのではありません。
例えばAさんが「縄」を見て「蛇」であると誤った理解をしていれば、サンヤマしているヨーギーも、実際は縄である対象物の情報がAさんの想念を通じて「蛇」だと入ってきます。
なぜなら、ヨーギーが集中しているのは、Aさんの想念(プラティヤヤ)についてであり、「蛇」なのか「縄」なのかについて知ろうとしているのではありません。
कायरूपसंयमात्
तत्ग्राह्यशक्तिस्तम्भे चक्षुः प्रकाशासंप्रयोगेऽन्तर्धानम् 3-21
カーヤルーパサンヤマート タトグラヒヤ シャクティスタンベー チャクシュフ プラカーシャーサンプラヨーゲー アンタルダーナム
काय-रूप-संयमात् カーヤルーパサンヤマート
体の形にサンヤマをすることによって
तद्-ग्राह्य -शक्ति -स्तम्भे タトグラヒヤ シャクティスタンベー
グラーヒヤ(註)の力が静止された時
चक्षु: チャクシュフ
視力と
प्रकाश プラカーシャ
光の
असम्प्रयोगे アーサンプラヨーゲー
関係を断ち切ることによって
अन्तर्धानम् アンタルダーナム
姿を消す。見えなくなる。
これにはある3つの要素が関係します。
◆ ग्राह्य グラーヒヤ
知り得ることができるもの。察知できる対象物。
(物体、音、香、感触、味)
対義語は アグラーヒヤ(अग्राह्य) 察知できないもの。
◆ ग्रहण グラハナ
対象物の情報を得ようとするもの。感覚器官、知覚。
◆ ग्रहण グラハナ
対象物の情報を得ようとするもの。感覚器官、知覚。
見ようとする人の情報収集力をグラハナ シャクティ(ग्रहण शक्ति )といいます。
◆ ग्रहीत グラヒータ
◆ ग्रहीत グラヒータ
対象物を察知する人。
सोपक्रमं
निरुपक्रमं च कर्म तत्संयमाद परान्तज्ञानमरिष्टेभ्यो वा 3-22
ソーパクラマン ニルーパクラマン チャ カルマ タトサンヤマーダパラーンタジュニャーナマリシュテビョー ヴァー
कर्म カルマ(には2通りある)
सोपक्रमम् ソーパ クラマン
業果を発現する条件・準備の整ってあるもの
निरुपक्रमम् ニルパ クラマン
निरुपक्रमम् ニルパ クラマン
業果を発現する条件・準備の整ってないもの
तत्संयमाद परान्तज्ञानमरिष्टेभ्यो
タトサンヤマーダ パラーンタジュニャーナ マリシュテビョー
・तत् タト
それら(2つのカルマに)
・संयमात् サンヤマート
サンヤマすることによって
・अपरान्त-ज्ञानम् アパラーンタ ジュニャーナム
(ヨーギーは)死期がわかるようになる。
・अरिष्टेभ्यः
वा アリシュテビャハ ヴァー
不運の兆し・前触れ(アリシュタ अरिष्ट)によってもまた、死期がわかるようになる。
補足として、不運の兆し・前触れ(アリシュタ अरिष्ट)には3種類あります。以下3つはヒンディ語表記です。
・आध्यात्मिक अरिष्ट アーデャートミック アリシュタ
例として、両耳を両手で塞いだ時、内部からナーダ音が聞こえなくなった時。また、両手で両目を塞いだ時に金色の眩しい光が見えなくなった時。
・आधिभौतिक अरिष्ट アーディバォーティック アリシュタ
・आधिभौतिक अरिष्ट アーディバォーティック アリシュタ
死んだはずの人が現れて、あたかも目の前に立っているかのように見えるなど。
・आधिदैविक अरिष्ट アーディダェヴィック アリシュタ
突然、修行を完成したような心地になる。また、夜空を見て、星の配置が逆さまや滅茶苦茶になって感じられる。また、慈悲がケチで卑しいものに見えたり、その逆でケチが慈悲の心に見えたりする。また、ダルマあるものをアダルマに、アダルマなるものをダルマに感じるなど。他、人間界を天界に、天界を人間界に感じるなど真逆に感じる現象は死期を知らせる予知とされる。
前者の予知「アーデャートミック アリシュタ」はヨーギーにのみ現れる現象とされる。後者の「不運の兆し・前触れから分かる死期」はヨーギーの他、一般人にも起こり得る。