उदानजयात् जलपङ्ककण्टकादिष्वसङ्ग उत्क्रान्तिश्च 3-39
ウダーナジャヤート ジャラパンカ カンタカーディシュワサンガ ウトクラーンティシュチャ
उदान-जयात् ウダーナ ジャヤート
(主要な5つの気のひとつである)
(主要な5つの気のひとつである)
ウダーナの動きを熟知することによって
जल ジャラ
水
पङ्क パンカ
ぬかるみ、泥
कण्टक カンタカ
棘
आदिषु アーディシュ
などの中に
असङ्ग: アサンガハ
接触することがない。
च チャ
また
उत्क्रान्ति: ウトクラーンティヒ
上昇することもできる。
また
उत्क्रान्ति: ウトクラーンティヒ
上昇することもできる。
ウダーナ気は喉から眉間の間を司る気で、この部分の気をコントロールできるようになると、心が爽快になり、身体的にも身軽に動きやすく感じるようになります。人が亡くなる時もウダーナの気の働きによりスークシュマ・シャリーラとよばれる目に見えない体が肉体から抜けるとされます。
समानजयाज्ज्वलनम् 3-40
サマーナジャヤージュジュワラナム
समान-जयात् サマーナ ジャヤート
(主要な5つの気のひとつである)サマーナの動きをよく熟知することによって
ज्वलनम् ジュワラナム
(ヨーギーの肉体は)輝きが出る。
(ヨーギーの肉体は)輝きが出る。
*ジャトラーグニ/ジャトラ・アグニ
腹部に宿る火のエネルギーは食物の消化のほか、活力や上昇志向、物事を理解するための能力、修行を加速させる力を発揮する重要な役割を持つエネルギーです。このジャトラーグニと腹部での働きを司るサマーナ気は深い関係を持っていて、ヨーガの肉体鍛練やバクティーヨガなど、あらゆるヨーガ行法で高めることが可能です。このサマーナ気を増大させることによって火が持っているエネルギーを生成し、肉体を輝かせます。
श्रोत्राकाशयोः संबन्धसंयमात् दिव्यं श्रोत्रम् 3-41
シュロートラーカーシャヨーホ サンバンダサンヤマートディッヴィャン シュロートラム
श्रोत्रा-आकाशयो : シュロートラー アーカーシャヨーホ
聴覚器官と空(アーカーシャ)の
संबंध -संयमात् サンバンダサンヤマート
関係にサンヤマすることによって
दिव्यं श्रोत्रम् ディッヴィャン シュロートラム
天耳通が得られる。
サーンキャ哲学の世界観は、外界をみるためにアハンカーラ(自我、エゴ)から聴覚が発達し、アハンカーラによって生じた音の五唯(声唯)からアーカーシャ(空)ができた、としています。
アーカーシャ、声唯、音、聴覚はアハンカーラが源であり、これらの関係性に集中すると、常人が聞き取れないような周波の音や、防音壁の裏側から発する音、喉まで出かかっているが声にならないような声、遠い場所で起こっている音まで聞こえるようになるといいます。
空間であるアーカーシャが生じる前に、音や聴覚、五唯がすでに微細な形状で出来上がっていたけれども、アーカーシャという空間がなければ、私たちが現実だと認識している世界で音を伝える術もないので、潜伏したように見える状態です。
私達の常識からしてアーカーシャが存在しないところで「音の存在」があるとはどういうことなのか、それは無いに等しいのではないか、と言い切りたいところですが、インド人の思想的に「ゼロのように、無いはずのものも在る」「無いものだと認識されていること、それが意識の存在として認められるし、目の前に現れていないだけであって将来顕現する可能性があるから在る」のだとか。
新しい手法や知識というのも同様に、私たちが生まれる前から、目には見えないけれど存在としてあって、誰かの努力によって「生み出された」のではなく「発見された」という、似ているようで違う次元のことを言っているのが興味深いですね。
「私が開発したから。私が編み出したものだ。」と強調しすぎると、ヨガの教えでは「エゴが強い」となります。能力があることは素晴らしいことですが、「自分が、私が」というエゴが強いのは、ヨガが成就できない最強の原因でもあるといいます。素晴らしい才能も、神様が与えた道具という認識をもって、世界に満遍なくいきわたり共有されるのが理想ですね。
कायाकाशयोः संबन्धसंयमात् लघुतूलसमापत्तेश्चाकाश गमनम् 3-42
カーヤーカーシャヨーホ サンバンダサンヤマートラグトゥーラサマーパッテーシュチャーカーシャ ガマナム
काय -आकाशयो : カーヤ アーカーシャヨーホ
肉体と空(アーカーシャ)の
संबन्ध -संयमात् サンバンダサンヤマート
関係にサンヤマすることによって
लघु -तूलसमापत्ते: च ラグトゥーラサマーパッテーヘ チャ
軽いものや、綿にサンヤマすることによっても
आकाशगमनम् アーカーシャ ガマナム
空の中を動く力が具わる。
肉体と空(アーカーシャ)の
संबन्ध -संयमात् サンバンダサンヤマート
関係にサンヤマすることによって
लघु -तूलसमापत्ते: च ラグトゥーラサマーパッテーヘ チャ
軽いものや、綿にサンヤマすることによっても
आकाशगमनम् アーカーシャ ガマナム
空の中を動く力が具わる。
बहिरकल्पिता वृत्तिः महाविदेहा ततः प्रकाशावरणक्षयः 3-43
バヒラカルピター ヴリッティヒ マハーヴィデーハ タタハ プラカーシャーワラナクシャヤハ
बहिरकल्पिता バヒラカルピター
(肉体の)外に心が、想像を超えて実際にとどまっている
बहि: バヒヒ
外に
अकल्पिता(アカルピター)
体の外に想像ではなく実際に心がある時
महाविदेहा(マハーヴィデーハ)
大脱身(とよぶ。)
तत: タタハ
そのとき
प्रकाशावरणक्षयः
プラカーシャーワラナ クシャヤハ
理智の光を覆っている障害が消えてゆく。
प्रकाश プラカーシャー 理智の光
आवरण アーワラナ 覆っている障害
क्षय: クシャヤハ 消えてゆく。
ヴィデーハ(विदेह) は、肉体を離れることや、肉体に関する心配事から離れることを言います。
ヴィデーハ ダーラナー(विदेह-धारणा)とは、ヴィデーハについて専ら集中を向けることで、そのファーストステージとして、心が肉体にとどまりながらも、体の外に心があることを想像上のイメージとしている状態をカルピタ(कल्पित)といい、体の外に想像ではなく実際に心がある時、その状態をアカルピタ(अकल्पित)と言います。カルピタとアカルピタの修習には、各感覚器官と心の本性の原点に還ることを必要とします。
カルピタの修習の後、アカルピタを達成するわけですが、そのように心が肉体から解放された状態をマハーヴィデーハ/大脱身(महाविदेह)と呼びます。
尊師など高徳な人が逝去される時もマハーヴィデーハという言葉を使いますが、ここでは自分の肉体は生きながらも、体の内外を自由に行き来できる自由度の高い心の意識レベルを表現することを指しています。