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魔物の討伐(マハーバーラタ6)

パーンダヴァ五兄弟は、ヴァラナーヴァタ宮殿の秘密の抜け道を通って、人里離れた森へと逃れた。母クンティーを含む五兄弟が、あの館で焼き殺されてしまったという報せは、瞬く間に各地へと広まった。

そのため、パーンダヴァたちは数日の間、身を潜めておくのが賢明だと判断した。 五兄弟は母クンティーを伴い、バラモンに身をやつして各地を放浪した。やがてエーカチャクラの町にたどり着くと、そこで暮らすあるバラモン宅に身を寄せ、日々の糧を乞い歩く生活を始めた。

托鉢で得た穀物があれば、他の者たちの食事は十分に賄えたが、ビーマセーナ(ビーマ)の腹だけは決して満たされることがなかった。五兄弟が托鉢で食料を持ち帰ると、母クンティーはそれを二つに分けた。その一方を丸ごとビーマに与え、残りの半分を、自分と他の四人の息子たちで分け合って食べた。それでもなお、ビーマの腹が満たされることはなかった。 

 ある日のこと、四人のパーンダヴァ兄弟が托鉢に出かけた。ビーマだけは母と共に家に残った。その日は托鉢に行かなかったのである。その時、バラモン宅の家中に激しい動揺が走った。泣き叫ぶ声や、嘆き悲しむ声が家中に響き渡ったのだ。 

事の次第はこうである。その村には一匹の魔物が棲みついていた。その名はヴァカースラ(वकासुर)。村人たちはこの魔物をひどく恐れていた。魔物は毎日、多くの男女を殺しては食らっていたのである。村全体が、その残虐な振る舞いに苦しめられていた。

そこで村人たちは皆で魔物に懇願し、毎日無差別に殺戮を行うのはやめてほしいと頼んだ。その代わりとして、村人たちが週に一度、牛車に食料を積んで魔物の元へ献上することを申し出たのである。魔物はこの提案を受け入れた。こうして毎週、一輌の牛車が魔物の元へと運ばれることになった。

魔物は牛車に積まれた食料を平らげるだけでなく、その牛や、牛車を引いてきた人間までも食らってしまうのであった。この牛車を引く役目は、村の各家が持ち回りで務めることになっていた。そして今日、その役目がこのバラモン一家の番となったのである。それゆえに、家の中は悲鳴と嘆きに包まれていたのだ。 

 一家の者たちは皆、他の家族を救うために、自分が進んで牛車を引いて行くと譲らず、互いに激しく言い争っていたのである。

父親はこう言った。
「私はもう年老いた。今こそ死ぬべき時だ。私を行かせてくれ。」

すると妻であるバラモン尼が言った。
「なぜあなたが私の前で死なねばならないのですか。私が行きます。」

バラモンの息子もまた言った。
「息子である私がいるというのに、なぜ両親が苦しまねばならないのですか。私が荷車と共に参ります。」 

 息子の妻、つまり嫁もまた、残ろうとはしなかった。彼女自身もまた、自分が行くと強く主張したのである。

母クンティーは、彼ら一人ひとりの言葉に耳を傾けていた。このバラモン一家の人々の間に、これほどまでに深い愛が満ち溢れているのを見て、彼女は心から喜びを感じていた。

やがて彼女は皆の前に進み出ると、こう告げた。
「いいえ、今日はあなた方の誰一人として行く必要はありません。荷車と共に参りますのは、私の息子、ビーマです。」

 バラモンは、自分たちが助かるために客人を死地へ送るなど不適切だと感じていたが、クンティーは彼にこう告げた。

「私の息子は並外れた力を持っています。あの怪物が彼を害することなどできません。それどころか、息子が怪物を打ち倒してしまうでしょう。」

こうして、いよいよその時が来た。ビームセーナは食料を積んだ荷車を引いて、怪物のもとへと歩みを進めた。荷車には、米、豆料理、そしてロティ(パン)が山と積まれた大きな壺が載せられていた。

ビームセーナはここ数日、ろくに食事にありつけておらず、ひどく空腹だった。怪物の棲む洞窟の外まで来ると、彼は荷車を止め、そこにある食料を食べ始めた。



怪物は、この日に限って食料が届くのが遅れていることに気づいた。怒り狂った怪物は洞窟から飛び出してきたが、外に出て、自分の食料をビームが平らげている姿を目にするや、激しい怒りで我を忘れてしまった。

怪物は雷鳴のごとき怒号をビームに浴びせたが、ビームはただ静かに食事を続け、一向に動じない。怪物の怒りは頂点に達した。彼は全身の力を込めてビームの背中に幾度も攻撃を叩き込んだが、ビームセーナの食事の邪魔になることは一切なかった。彼は何事もなかったかのように、普段通りに食べ続けたのである。 

 食事を終えたビームは、大きく一つげっぷをすると、そのまま怪物の体へと飛びかかった。一撃の蹴りで怪物を地面に叩き伏せると、ビームは膝を突き立てて怪物の背骨をへし折った。怪物は苦悶の叫びを上げた。その口からは血が激流のように溢れ出し、ついにその命の灯火は消え失せた。

村人たちは歓喜に包まれた。母クンティーは、喜びと誇りに満ちて立ち上がった。