ビーシュマはカウラヴァ軍の総大将であった。最初の十日間、彼は猛烈な戦いを繰り広げた。戦場にあって彼は獅子のごとく咆哮し、パーンダヴァ軍をまるで人参や大根をなぎ倒すかのように次々と切り伏せていった。彼が視線を向けた先には、どこであれ混乱と恐慌が巻き起こった。 パーンダヴァの兵士は毎日1万人ずつ命を落とし、わずか8日のう…
両軍は戦闘態勢を整えていた。開戦を告げる法螺貝が今まさに鳴り響こうとしていたその時、突然、ユディシュティラが立ち上がった。彼は武器と鎧を脱ぎ捨てて地面に置き、自らの戦車から降り立った。 両手を合わせて合掌すると、彼はカウラヴァ軍の方へと足早に歩き出した。両軍の人々は皆、驚愕に目を見張った。兵士たちは、ユディシュティラ…
クルクシェートラの戦場。カウラヴァ軍とパーンダヴァ軍が互いに向き合い、今にも戦端が開かれようとしていた。 クリシュナ神は、アルジュナの戦車の御者を務めていた。彼はアルジュナの戦車をパーンダヴァ軍とカウラヴァ軍のちょうど中間地点へと進め、そこで停止させた。 アルジュナが前方を見やると、一方の陣営に、彼に弓術を教え込んだ…
戦争の準備は整った。両軍の兵士たちは、今にも戦いへと赴かんばかりに待ち構えていた。しかし、戦争がもたらす結果はあまりにも悲惨なものである。 それゆえ、カウラヴァ家とパーンダヴァ家の間に和解をもたらそうと奔走する人々がいた。 ヴィラータ王は自らの王室の司祭を遣わし、カウラヴァ家の人々を説得させようとしたが、誰もその言…
パーンダヴァたちの流刑の期間が終わりを告げた。今や、カウラヴァとパーンダヴァの双方が、戦争への準備を開始した。彼らはそれぞれ、自陣営に加わるよう他の王たちを説得すべく動き出した。 アルジュナはシュリー・クリシュナに会うため、ドヴァーリカー(द्वारिका)へと向かった。ドゥルヨーダナもまた、ドヴァーリカーへと旅立っ…
パーンダヴァたちの庵の近くに、ある苦行者の小屋があった。小屋の中には、彼の「アラニ」(火きり板)と「マンタニ」(火きり棒)が吊るされていた。 これらは、火きり棒を火きり板にこすり合わせて火を起こすための道具である。ある時、これらの道具が鹿の角に絡みついてしまい、鹿はそのまま道具をつけたまま森の奥へと逃げ去ってしまった…
ドゥルヴァーサ仙は、その激しい気性で知られていた。ある時、彼はドゥルヨーダナのもとを訪れた。仙人に同行していたのは、一万人に及ぶ弟子たちであった。ドゥルヨーダナは彼らを極めて丁重にもてなした。短気な仙人が自分に呪いをかけるのではないかと恐れていたからである。仙人は、この献身的なもてなしに大いに満足した。そこで彼はドゥ…
サンスクリット語に、次のような格言がある。 असंभवम् हेम मृगस्य जन्म, तथापि रामो लुलुभे मृगाय। प्रायः समापन्न विपत्तिकाले, धियो अपि पुंसां मलिनी भवन्ति ।। 黄金の鹿など生まれようはずもない。 それにも…
ユディシュティラの王の即位祭(ラージャスーヤ・ヤジュニャ)の盛大さを目の当たりにし、ドゥルヨーダナの嫉妬心は一層激しく燃え上がった。ドラウパディーのあの辛辣な言葉遣いが、夢にまで現れて彼を苦しめた。 彼は復讐の機会をうかがい始め、やがてある妙案を思いついた。彼はユディシュティラを「チャウパル(चौपड़)」という博打…
神は人間に対し、他のあらゆる生き物に勝る、ある特別な贈り物を授けられた。それは「言葉の力」である。この力を用いれば、愛に満ちた言葉を紡ぎ出し、世界中の人々の心をつかむことさえできる。 しかし、もし不注意にも辛辣な言葉を口にしてしまえば、肉親でさえ、まるで赤の他人のように遠ざかってしまうことになりかねない。 実のところ…
ドリタラーシュトラは、パーンダヴァたちが生き延びていたこと、すなわちヴァラナーヴァタの火災で命を落としてはいなかったことを悟った。彼は、ドラウパディーの「スヴァヤムヴァラ(花婿選びの儀式)」を勝ち取ったのが、他ならぬアルジュナであったことを知っていた。そこで彼はパーンダヴァたちを呼び寄せ、王国の半分を彼らに譲り渡した…
パンチャーラ国の王はドゥルパダ(द्रुपद)であった。彼はかつて、アルジュナによって師であるドローナへの捕虜として差し出されたことのある人物である。ドゥルパダは、娘ドラウパディー(द्रौपदी) の「スヴァヤムヴァラ(婿選びの儀式 स्वयंवर)」を催すことにした。当時、結婚に際しては、娘自身が婿を選ぶというこ…
パーンダヴァ五兄弟は、ヴァラナーヴァタ宮殿の秘密の抜け道を通って、人里離れた森へと逃れた。母クンティーを含む五兄弟が、あの館で焼き殺されてしまったという報せは、瞬く間に各地へと広まった。 そのため、パーンダヴァたちは数日の間、身を潜めておくのが賢明だと判断した。 五兄弟は母クンティーを伴い、バラモンに身をやつして各…
ドゥルヨーダナは、ビーマの怪力とアルジュナの知略ゆえに、パーンダヴァ五兄弟に対して激しい嫉妬心を抱いていた。彼は常に陰謀を巡らせ、なんとかして五兄弟を殺害し、自ら単独で王国を支配しようと企んでいた。 ドゥルヨーダナの母方の叔父であるシャクニ(शकुनि)もまた、邪悪な人物であった。彼は常にドゥルヨーダナに悪知恵を授…
カウラヴァ家とパーンダヴァ家の王子たちの教育が完了した。当時の慣習として、教育を終えた弟子は師に「グル・ダクシナー(गुरु - दक्षिणा 師への報恩の贈り物)」を捧げることになっていた。 そこで、王子たちが師であるドローナチャリヤにその意を伝えると、師は彼らに自らの身に起きたある物語を語り始めた。「幼少の頃、…
カウラヴァ家とパーンダヴァ家の王子たちは、共同生活をし、共に遊んでいた。彼らの教育はビーシュマの監督下で行われていた。 ある日、遊びの最中に、王子たちのボールが井戸の中に落ちてしまい、王子たちはひどく動揺した。 どうすればボールを取り出せるのか、誰にも見当がつかなかった。その時、一人のバラモンがそこへやって来た。彼…
シャンタヌ王(शान्तनु)の妃であるガンガー(गंगा)は、唯一の息子であるデーヴァヴラタ(देवव्रत)を残し、天界へと旅立っていた。王はガンガーとの別れを深く悲しんでいたが、その悲しみを表に出すことは決してなかった。ある日、王は気晴らしのために外出された。歩を進めるうちに、王はヤムナー川の岸辺へとたどり着い…
5千年前、バーラトワルシャ(भारतवर्ष インド亜大陸)にはシャーンタヌ (शान्तनु)という君主がいた。国の都はハスティナープラ(हस्तिनापुर)に置かれていた。 父シャーンタヌの跡を継いで王位に就いたのは、ヴィチトラヴィーリヤ(विचित्रवीर्य)であった。ヴィチトラヴィーリヤは子供が生ま…
新学期が始まり早くも1ヶ月以上が経過しました。子供が通う学校では、小学3年生からマハーバーラタの科目が加わりました。英語のリーディングの教科は別であり、それと比べるとマハーバーラタの英文は文法や単語が難しかったので、宿題のフォローのために私も読んでみることにしました。途中で挫折して積読してしまわない程度のボリューム…
日本語版で昔読んだラーマーヤナの最終章は、シーターが火の中に入って貞節を証明するアグニ・パリクシャを受けた結果、民衆に受け入れられ目出度しで幕引きだったはずですが、インドの教科書には続きがあり、悲劇と孤独が続くシーターを見てそれまでの物語の余韻が飛んでしまいました。 再び民衆から「シーターがラーヴァナの元で貞節…